2021年1月30日土曜日

米 ヘッジファンドvsロビンフッター まとめと続報

 昨日の東京市場、大きく下落。その下落の主要原因として、証券新聞は、『ゲームストップ株の空売りで多額の損失を出したヘッジファンドのシトロン・キャピタルが日本時間(金)23時に大きな発表を行うと報じられたことを受けて、リスク回避姿勢から日経平均は下げ幅を拡大した。』と概況に書いている。
 実際、朝のこち株でも シトロン・リサーチが23時に発表を行うことを話していたが、前場はそれほど荒れていなかったが、午後から崩れた相場になった。どちらかと言うと、週末・月末の手仕舞いのような感じがしたのだが。
 さて、今週の市場の話題を整理してみよう

☆昨年前半 ロビンフッター
 昨年、コロナ禍の中、米政府は国民に現金給付を行った。そのお金を基に、投資アプリ「ロビンフッド」を使い投資を始めた国民が多かった。特に若者。ロビンフッドは、手数料無料、投資基準も1株からの投資なので、低額で投資できる。さらに信用取引もできるとあって、若者に人気。その仕組みは、ロビンフッドの運営会社は、入った注文を超高速取業者(HFT)に回してリベートを受けると言うもの。そのアプリを使った投資家をロビンフッターと呼ぶ。
 後日、問題が発生した。ロビンフッドを通しての投資は、会社が握っており、運営会社は、その情報を売って利益を得ていたことになり、その情報が、HFT業者に利用されていたと言う問題が発生したのである。
 そのロビンフッターは、2月の暴落の後のため、株価が安いところで買えることができた。また、大量の資金が株式市場に流れ込んだため、株価が急騰し、ロビンフッターは、思わない大儲けをした。それがSNSで流れ、瞬く間に若者の間で広がり、うわさがうわさを呼び、ロビンフッターが急増、個人投資家の資金がNY市場を動かすまでになった。現在6割が個人投資家だと言われている。
☆昨年後半 ヘッジファンド
 ヘッジファンドの一部のファンドが株を売買するときに、まず、品薄株の会社に目をつける(浮動株の少ない会社、例えば小さい会社など)ます、株を買い集めて、株価を釣り上げる。そこに個人投資家が参入し、人気化、さらに個人投資家が入ってきて、高値圏で空売りをしておく。ある程度売り玉が溜まったら、前半で買い集めていた玉と空売り玉を大量に売り浴びせる。すると、値が崩れ、下落、それを見た個人投資家が一気に売り注文を出しさらに下落。慌てた個人投資家、信用取引で投げざるを得なくなった投資家を目当てに売り浴びせる。その結果、仕掛けていたヘッジファンドが大きく利ザヤを稼ぎ、買っていた個人投資家が大損する。
 このような投資手法を、「Pump and Dump」と言う。それが横行していた(日本でも行われている)。その元になる情報を提供しているのが、売り推奨をするシトロン・リサーチの情報。その本体がヘッジファンド会社、シトロン・キャピタルで、このファンドも空売りで儲けている。
☆今年に入って ロビンフットのSNS
 それを逆手に取ろうと、ロビンフッターたちが使う情報交換SNSで、ゲームストップを売っている汚いヘッジファンドをやっつけようと呼びかけがあって、それに呼応したロビンフッターたちが、ゲームストップの株を買い始めた(すでにブログに、28日・29日と書いてきた)。ほかにもAMCエンターテイメント株や、BBBY(ヘッド・バス・アンド・ビヨンド)株などにもロビンフッターの買いが入って急騰している。
 その結果、売っていたヘッジファンドの含み損が巨額になり、その貸し株料も急騰し、費用もばかにならなくなった。その状況を見ていた他のファンドが、ショートスクイーズ(踏み上が相場)狙いで参戦し、さらに株価が上昇すると言う状況になった。ついに、一部ヘッジファンドが損失も払えなくなる状態に陥り始め、音を上げ、莫大な損失を抱えながら、この株から引き揚げた。破綻したファンドも存在すると言われている。その影響はと言うと、それらのファンドは、持っている株をすべて売って損失補填に充てるしかなく、他の株に大量の売りが現れて、市場全体の下落を引き起こし、ひどい場合には、暴落をも引き起こすと言われている。
☆今週 規制と議論
 今週、それらの株は、完全に青天井の踏み上げ相場になり、次々とヘッジファンドが敗北宣言をして相場から降りていった。27日(日本時間28日夜中)ホワイトハウスは「この状況を注視している」と異例のコメントを発表し、28日にはロビンフットが、規制を行うことになった。 その規制を受けて、一部米議員たちから、買い規制するのは不公平だ、自由競争に違反する等、公式に批判を行った。コルテス議員がつぶやいた『今まで、株式市場をギャンブルか何かの様に扱っていた人が、ロビンフッターたちの売買を、ギャンブルのようだと非難するのはおかしい』(原文が見つからなかったので趣旨のみ)、つまり『同じ穴の狢(むじな)だ』は、投資方たちの共感をよんだ。
 また、SECは、株価操作の疑いがあるとして、調査を開始すると発表。小生は、ヘッジファンドの方が株価操作をしていると思うのだが・・・(日本は、必ず個人投資家が捕まる。証券会社はファンドから入るお金が大きくファンドの味方で、個人からは自民党への○○がないから)
 個人投資家は、今まで、汚い手法で株式市場で儲けてきたヘッジファンドが負けたことを大喜びしていている人が多く、ロビンフッターたちを英雄視し、ヘッジファンドを悪者だと決めつけている。それだけ、個人投資家はヘッジファンドに苦しめられてきたというレポートまで出ている。
 そして、昨日29日朝(NY28日)、シトロン・キャピタルが日本時間(金)23時に大きな発表を行うとツイッターに投稿。それを受けて、株価が急落。
規制解除
 非難を受けたロビンフットは、個人投資家の規制を解除した。
 29日ゲームストップ株は、乱高下して、325.00ドルで引けた(今年の株価は29日ブログ)
  27日 347.51$、 28日193.60$ (☚再掲)
  29日 始値 378.71  高値 413.98  安値 250.00  終値 325.00

◇ツイッターから シトロン・キャビタルのCEOの発表(NY時間29日9時)
 ◆撤退   ・ヘッジファンドのシトロンが20年に及んだ空売り調査から撤退   ・自身で空売りするとともに分析情報を顧客に提供していた   ・ゲームストップ株高騰で巨額損失を被った   ・CEO「Establishmentと戦ってきたが、今は私がEstablishmentになってしまった」   ↑今回の騒動を「庶民 vs Establishment」とみなす向きがある
◇日経速報(29日23:52)から
 シトロンは顧客に空売りの情報提供や推奨を進める一方、自身でも空売りをしてきた。だが今週に入り、個人投資家の買い注文が集中し、ゲームストップ株が高騰。米メディアによると、シトロンは多額の損失を抱え、持ち高の解消を迫られた。
 アンドリュー・レフト最高経営責任者(CEO)はユーチューブにビデオメッセージを公開して、
 ・20年間続けてきた株式の空売りの調査を中止する。今後は株を買う側の調査を個人投資家に提供していく。
 ・これまでエスタブリッシュメント(支配階級)と戦ってきたが、いま私はエスタブリッシュメントとされてしまった
 と述べた。
 ヘッジファンドの空売りと個人投資家の買いの構図について、市場では「支配階級と庶民の対立」とみる向きがある


 詳細は報道されていないが、内容は、自分を擁護するものであったようだ。かなりこの内容に対する反応が大きい模様で、庶民の勝利と喜ぶ投資家が多いようだ。
 だが、実際は、これを仕掛けた人間は、日本でいう仕手にあたり、決して、庶民の味方ではないし、庶民でもない。まさに、同じ穴の狢!

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